日々、変わる
小川健太・田中優里・堀越千晴
外を知って気付くこと
ドコモハウスから引っ越そうと学校外に場所を探し求めたが、結局私たちが行き着いたのは、他でもないドコモハウスだった。
私たちは現在、大学の本館から3分程歩いたところにあるドコモハウスという名のついたログハウスで研究会の授業を行っている。正面にはテニスコートがあり、辺りは木で鬱蒼としているその一画は、まさに軽井沢の別荘のようにも感じられる。大学のひとつの教室とは思えない雰囲気のある場所だが、使用していくにあたって大きな問題が三点あった。一つ目に研究会の所属人数が年々増えたため、場所が狭くなってしまったこと。二つ目に家賃が高い割に使用頻度が少なくもったいないということ。最後に、ドコモハウスを他の研究会とシェアして使っているのだが、その使い分けが上手くいってないということ。普段交流がないためなのか、お互いの微妙な価値観の違いが目につき、居心地の良さを確保できていないのだ。その結果、引っ越しが決まったのだった。
まず私たちは、快適に研究会の時間を過ごせる場所に必要な条件を考えだした。大学からのアクセス、金銭面、外観、まちの雰囲気。条件に合った箇所を見つけ出し出向いてみるものの、なんだか腑に落ちない。プレゼンのしやすさから考えて、広さに申し分はないが、真っ白の壁は物足りない。カラフルな家具が用意され、キッチンの設備もある好条件だが、毎週通っていたら飽きが来てしまいそう。だからといって異なるスペースをレンタルして回るのも、ひとつの環境にこだわって改良を重ねることが難しく、場を使いこなせない気もしてくる。そして最終的に私たちはこう思ってしまうのだ。「ドコモハウスの方がいい」と。使用継続に問題があるから引っ越そうと考えているにも拘らず、私たちは外を知れば知る程、いつもの場所の良さに気付いていく。学校の施設だからこその利点、それはある程度の自由があることではないだろうか。レンタルスペースでは融通が利かないことも、ここならば時間もレイアウトも調整できる。私たちの場を追求するならば、ここではないかと思ったのだ。
● つづきをPDF版で読む [引っ越しの準備](5.8MB)
● フィールドワーク展Ⅹ:じゅじゅじゅ
慶應義塾大学 加藤文俊研究室(2013年度秋学期)
こんなのもあります。|ちいさなトラック(2013)|工夫と修繕(2013)|常連になる(2012)|芬蘭風俗採集(2012)|まちのおみやげ(2011)|法政・明治・立教 ぐるり調べ(2011)|早稲田・慶應・東大 ぐるり調べ(2010)|おもしろさで変える(2010)|交わらない場所(2009)|